ドアロックすると安全?
さて、ここで言いたいのは「ドアロックしましょう」の件だ。聞くところによれば、自動車教習所でも「クルマに乗ったらベルトとドァロック」という教育が徹底しているから、ドアをパタンと閉めて「ポチッ」とドアをロックする。これでドアは開かなくなるから安心だというわけ。これが常識になっている。というより、習慣化している。「ポチッ」とやれば、万一のときドアが開かず、もう安心というわけ。
これ、ホント?
中には走り出すと自動的にロックするものもある。自動車メーカーに聞いてみると、たとえドアにロックを施さなくとも「手前どもで造っているクルマのドアは、アンチバーストと申しまして、二重にキャッチされ、万一の衝撃に対しましても、むやみにドアが開くようなことはございません」とおっしゃる。ほんとにアンチバーストなら、なにもドアにロックを施す必要はない。
それより恐ろしいのは、万一の場合、クルマが火を吹いて、ドカンときて炎が出る。当たりどころが悪ければ、ドァロックの仕掛けが変形する。ドアにロックが掛かったまんま。そんなときはどうしたらいいの?マド開けて脱出する?それがパワーで電気がダメなら?マドをたたき破る?こいつがどうして、ゲンコッで割れちまうほどヤワじゃない。ハンマーでもなけりや破れっこない。さあ、どうする?
クルマで事故にあって死んじまう例は、意外に焼死が多いのだ。レーサーでサーキットの華と散っちゃったヒーローの大半は焼死。なぜ焼死するのか。燃えるクルマから脱出できなかったからにほかならない。てめえの閉めたドアだから、いつ何時でもてめえで開けられるなんてェ考えは甘い。中からロックしたドアは、万一のときに、たとえ救助隊がすぐ駆けつけても、中であなたが失神でもしていたら、ちょっとのことじゃ開かない。
イタリアの高速道路で焼死事故が相次いだ。その原因の一つに、ドア変形による脱出不能があった。いま、イタリアでは「ロックしろ」とはいわない。「したければしなさい」という。だから、常識を守る前にメーカーに「アンチバーストは、ほんとに万一のときに安心か」どうか問いただすのがユーザーの正しい態度なんだ。アタシなんざ万一のときに逃げそこねちゃ大変だから、よほど理由のない限りロックなんかしない。
せめて運転席のロックははずしておいた方がいい。けれども、乗り込んでくる暴漢よけにロックの必要がある場合も考えられるので、適宜御配慮を願いたい。
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