ワックスがけは定期的にすべき?
では、ペイントはなんのために塗られているのか、というと、車体外装はたいていは鉄板でできている。この鉄板が酸化して、すなわち酸化鉄、サビを生じないようにペイントが塗ってあり、そのペイントもちょっとやそっとでハゲないように熱処理までしてある。
鉄板を傷めないようにペイントが施してあり、そのペイントを傷めないようにワックスの被膜をつくるのだから、考えようでは化粧の上に化粧を重ねるようなもので、そのうち、高価なワックスの被膜が落ちないように、ワックス被膜保護用被膜などというものまでできるかもしれない。こうなると笑い話にしかならなくなってしまう。では、いったいクルマのペイントの強度というものは、どのぐらいの耐久性があるのかというと、メーカーの技術者は「5〜6年はワックスなどかけなくても十分に保つ特殊塗装だ」と胸を張る。それが本当だとすると、あのめんどうなワックスがけなどは、買ってから売るまで必要ないことになるのだ。
ところが、たしかにワックスなしでも3〜4年はなんでもない場合と、ワックスをかけないと一年もしないうちにダメになってしまうものとがある。例えば、海岸、汚れた河川の近く、工場地帯などでは、腐食性のガスや塩害でペイントはどんどん傷んでくるし、ペイントの下の鉄板がやられてしまっていることもあるのだ。
では、ワックスをかければイイかというと、そう簡単なものではない。どうせ満足に完全なワックス被膜が車体全体につくれるはずはないから、公害汚染地帯ではやられるものはやられてしまうわけで、ワックスの効果など、それほど大したものではない。たしかに、まるでかけないよりワックスはかけたほうが見栄えはするのだが、あの手間と時間をかけたのに値するほど耐久性が延びるかというと、それほどでもないことが少なくない。
それより、大切なことは、クルマを色の好みで買うならともかく、耐久性について関心があるなら、ペイント自体の耐久性を見抜いて選ぶべきなのだ。クルマに塗ってあるペイントは、どの色も同じ強度をもっているかというと、そうではない。ある色は、ある色の二分の一以下の強度耐久性しかない、という事実はいくらでもある。
とくに、弱いのがメタリック塗装。アルミ粉がペイントに混入されているのだから、表面に出たアルミ粉から酸化が起きて来ても当然なのだ。それを嫌ってマイカ(雲母)粉やパール粉をペイントに混入する技法も用いられているが、値段がかなり高くなるのが泣きどころ。また、磨きすぎればかえってペイントを痛めてしまう。そのメタリック塗装車を時間をかけて丹念に磨いているなどとはコッケイというものである。
ワックスがけは定期的にすべき?関連ページ
- 新車の慣らし運転は必要?
- 通常の使い方でクルマを扱うなら、『慣らし』運転の必要はない。だいたい、慣らし運転というものは、生産管理や品質管理の良くない製品に必須のことなのだが、いまどきの一般消費財にまでなっている量産車になると、品質、生産管理は万全といっていいほどで、金属と金属の擦り合わせ部を静かに行うことでいわゆる「ナジミ」をつける必要はなくなっている。
- オイル交換は5,000キロがベスト?
- ガソリンスタンドでは一オイルは3,000キ口ごとに交換した方かいいですよ」、自動車メーカーでは「5,000キロごとに交換してください」、なかには1万キロで交換」というのもある。こうなると、「常識」的にはどうすればいいのか悩む人が多くなって当たり前。
- バッテリーの寿命は二年しかもたないのか?
- 道具というものの寿命は、それぞれ使い方で違ってくる。なんだってそうだ、使えば使うほど良くなるというのはあるが、寿命というものは使用が激しいほど縮まって当然。
- タイヤローテーションは5,000キロ?
- クルマのタイヤというものはゴムか主材ててきているのだから、摩擦すれば減るのが当然。それも四輪が平均に減ってくれるのなら良いのだが、そうはいかない。
- 夏と冬では粘性の異なるオイルを使うのが常識?
- エンジンオイルは人間でいえば血液の役目に近いことを行なっている。エンジン内部を駆け回って、潤滑の役をするのはもとより、酸化物(スラッジ)などを洗い流し、ついでに高温になっているエンジンを冷却する役も兼ね、さらに、密閉性もよくしようというのだから、あるいは人間の血液より役割分担は多いかもしれない。